目 的:糖尿病を有する患者の白内障術後炎症抑制効果を,0.1%ブロムフェナク単独投与(ブロムフェナク群)と0.1%ベタメタゾンとの併用投与(併用群)で比較検討すること.
方 法:糖尿病を有し白内障手術を行った51例51眼を,ブロムフェナク群(23例)または併用群(28例)に無作為に割り付け,両群ともブロムフェナクを術後8週間,併用群のみベタメタゾンを術後2週間併用投与した.前房内フレア値,中心窩網膜厚を測定し,術前からの変化量を比較した.
結 果:前房内フレア値の変化量は両群で差はなく,中心窩網膜厚の変化量は術後4週目でブロムフェナク群が有意に大きかった(p=0.0356).術後黄斑浮腫が生じた症例はブロムフェナク群にのみ4例あり,それらにはいずれも糖尿病黄斑浮腫の既往があった.
結 論:糖尿病合併例,特に糖尿病黄斑浮腫の既往がある症例の白内障手術後は中心窩網膜厚の肥厚や黄斑浮腫が生じやすく,併用投与が望ましいと考えられた.(日眼会誌118:645-651,2014)