目 的:超音波生体顕微鏡(UBM)を用いて先天角膜混濁症例の前房隅角所見を観察し,臨床所見との関連を明らかにする.
対象と方法:2001年9月から2009年1月までの間に京都府立医科大学附属病院眼科にて加療した小児先天角膜混濁症例10例19眼を対象にUBM検査を実施し,細隙灯顕微鏡所見,眼圧,臨床診断と比較,検討した.
結 果:UBM所見はPeters奇形7例13眼,強膜化角膜3例6眼のそれぞれにおいて,部分的隅角閉塞を10眼(77%),5眼(83%),Descemet膜欠損を13眼(100%),6眼(100%),虹彩からの索状物の立ち上がりを12眼(92%),6眼(100%)に認めた.Peters奇形のうち5例9眼(69.2%)に緑内障の合併を認め,強膜化角膜では明らかな高眼圧を認めなかったが2眼(33.3%)で角膜径の拡大傾向を認めた.
結 論:UBMによりPeters奇形と強膜化角膜の前房隅角形状の類似性が判明した.一方,緑内障合併の有無とUBM所見に関連を認めず,隅角の機能的異常に関してさらなる検討を要すると考えられた.(日眼会誌119:16-21,2015)