論文抄録

第119巻第11号

平成26年度日本眼科学会学術奨励賞 受賞論文総説

ポリープ状脈絡膜血管症の治療におけるエビデンス
大石 明生
京都大学医学部眼科学教室

ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)に対しては光線力学療法(PDT)が比較的有効であるが,2年目以降は治療効果が減弱することが知られている.抗血管内皮増殖因子(VEGF)療法はPCVに対して有効であるとする報告がある一方,抵抗性を示す例の報告もある.このようにPCVに対する最適な治療法は未だ定まっていない.本研究ではPCVに対し,PDTと抗VEGF療法のどちらがより視力改善に有効であるか調べるため,PCV患者をPDT群とラニビズマブ投与群に割り付け,2年間の治療を行う多施設無作為比較試験を計画した.なお,再治療は経過観察にて一定の再発所見がみられた際に行った.結果,網膜厚の推移では両群に差がなかったのに対し,視力の推移は1年目,2年目どちらの時点でもラニビズマブ群で有意に良好であるという結果であった.本研究によってPCVに対して,PDTよりラニビズマブ硝子体内投与のほうが視力改善効果が高いことが証明された.(日眼会誌119:781-786,2015)

キーワード
ポリープ状脈絡膜血管症, 光線力学療法, ラニビズマブ, 無作為比較試験
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