論文抄録

第119巻第11号

臨床研究

超広角蛍光眼底造影による糖尿病網膜症の評価
富安 胤太, 平原 修一郎, 野崎 実穂, 吉田 宗徳, 小椋 祐一郎
名古屋市立大学大学院医学研究科視覚科学

目 的:網膜の広範な撮影が可能な超広角走査レーザー検眼鏡(Optos® 200Tx)を用いて糖尿病網膜症で周辺部を含む網膜広域のフルオレセイン蛍光眼底造影所見を検討する.
対象と方法:2011年5月から2012年4月までの間,当院の糖尿病網膜症患者で77症例154眼の眼底を後極部,中間周辺部,周辺部に区分し,網膜無灌流領域と網膜新生血管の有無を検討した.
結 果:網膜無灌流領域を認めたのは154眼中130眼(84%)であり,周辺部のみに網膜無灌流領域を認めたのは10眼(7.7%)であった.網膜新生血管は72眼(47%)でみられ,そのうち,中間周辺部に58眼(81%)と最も多く,周辺部にも8眼(11%)でみられた.
結 論:7.7%で周辺部のみに,網膜無灌流領域が確認でき,超広角走査レーザー検眼鏡による蛍光眼底造影は,周辺部の評価が容易で,糖尿病網膜症の病態評価に有用と考えられた.(日眼会誌119:807-811,2015)

キーワード
糖尿病網膜症, 網膜無灌流領域, 網膜新生血管, フルオレセイン蛍光眼底造影, 超広角走査型レーザー検眼鏡
別刷請求先
〒467-8601 名古屋市瑞穂区瑞穂町字川澄1 名古屋市立大学大学院医学研究科視覚科学 平原 修一郎
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