論文抄録

第119巻第12号

臨床研究

無治療加齢黄斑変性に対するアフリベルセプトとラニビズマブの維持期必要時投与における12か月成績
梅田 尚靖, 外尾 恒一, 塚原 朋子, 岡村 寛能, 内尾 英一
福岡大学医学部眼科学教室

目 的:無治療加齢黄斑変性(AMD)に対するアフリベルセプト硝子体内注射(IVA)の維持期必要時(PRN)投与での12か月成績をラニビズマブ硝子体内注射(IVR)群と比較する.
対象と方法:AMDに対しIVAを1か月ごと連続3回施行後にPRNにて追加投与を行った42眼を対象とした.IVRで治療を行った56眼を対照とし,経時的な視力変化と再発について統計学的に検討した.
結 果:治療前視力と平均治療回数に両群間で有意差はなかったが,IVA群の視力改善度は治療開始後の各時点でIVR群より良好で6か月では統計学的に有意差を認めた(p=0.041).IVA群では導入期終了後から初再発までの期間がIVR群より短く,導入期以降の寛解維持率も低かった.12か月後の0.2 logarithmic minimum angle of resolution(logMAR)以上の視力改善とAMDのサブタイプがポリープ状脈絡膜血管症,最大病変直径,治療前視力の項目で有意な関連を認めた.
結 論:抗血管内皮増殖因子療法による視力改善は治療薬の選択より病型・病態の影響を強く受けていた.(日眼会誌119:839-845,2015)

キーワード
加齢黄斑変性, 血管内皮増殖因子, アフリベルセプト, ラニビズマブ, 硝子体内注射, 必要時(PRN)
別刷請求先
〒814-0180 福岡市城南区七隈7-45-1 福岡大学医学部眼科学教室 梅田 尚靖
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