論文抄録

第119巻第2号

基礎研究

ラットにおけるアスタキサンチンの光障害抑制効果
山本 篤志, 湯澤 美都子
日本大学医学部視覚科学系眼科学分野

目 的:ラットにおける網膜光障害に対するアスタキサンチン(AST)の予防効果を明らかにする.
対象と方法:白色ラット24匹を無作為にAST高濃度投与群(1 mg/kg,H群),AST低濃度投与群(0.2 mg/kg,L群),対照群(C群)の3群に分け,3,000 lxの高照度環境下で1日12時間,連続7日間飼育した.毎日光照射開始前にASTを,C群にはオリーブオイルを経口投与した.光照射実験開始前後に網膜電図(ERG)を記録した.眼球を摘出し,ヘマトキシリン·エオジン染色にて外顆粒層(ONL)厚を,TUNEL染色にてONL中のアポトーシス陽性率を調べた.
結 果:ERGのb波振幅の残存率はH群,L群,C群の順で高く,各群間に有意差を認めた.ONL厚はAST投与群でC群と比べ有意に厚かった.TUNEL陽性率はH群,L群,C群の順に低く,各群間に有意差を認めた.
結 論:ASTはラットの網膜光障害に対して予防的な効果がある.(日眼会誌119:55-62,2015)

キーワード
網膜光障害, アスタキサンチン, 抗酸化物質, アポトーシス
別刷請求先
〒101-8309 東京都千代田区神田駿河台1-6 日本大学病院眼科 山本 篤志
atsugorou5@gmail.com