目 的:ラットにおける網膜光障害に対するアスタキサンチン(AST)の予防効果を明らかにする.
対象と方法:白色ラット24匹を無作為にAST高濃度投与群(1 mg/kg,H群),AST低濃度投与群(0.2 mg/kg,L群),対照群(C群)の3群に分け,3,000 lxの高照度環境下で1日12時間,連続7日間飼育した.毎日光照射開始前にASTを,C群にはオリーブオイルを経口投与した.光照射実験開始前後に網膜電図(ERG)を記録した.眼球を摘出し,ヘマトキシリン·エオジン染色にて外顆粒層(ONL)厚を,TUNEL染色にてONL中のアポトーシス陽性率を調べた.
結 果:ERGのb波振幅の残存率はH群,L群,C群の順で高く,各群間に有意差を認めた.ONL厚はAST投与群でC群と比べ有意に厚かった.TUNEL陽性率はH群,L群,C群の順に低く,各群間に有意差を認めた.
結 論:ASTはラットの網膜光障害に対して予防的な効果がある.(日眼会誌119:55-62,2015)