論文抄録

第119巻第5号

臨床研究

日本医科大学付属病院眼科における8年間の内眼炎患者の統計的観察
芹澤 元子, 國重 智之, 伊藤 由起子, 塚田 玲子, 堀 純子
日本医科大学付属病院眼科学教室

目 的:日本医科大学付属病院眼炎症外来における8年間の内眼炎患者における原因疾患の疫学調査を行った.
対象と方法:2004年4月から2012年3月までの間に日本医科大学付属病院眼炎症外来を初診した内眼炎患者759例(男性357例,女性402例)をレトロスペクティブに調査した.
結 果:初診時の平均年齢は50.8±16.6歳(平均値±標準偏差).患者の男女比は1:1.1とほぼ同数であった.確定診断のついた症例は464例(61.1%)であり,サルコイドーシス,強膜炎,Vogt-小柳-原田病(原田病),ヘルペス性角膜ぶどう膜炎,HLA-B27関連ぶどう膜炎,Behçet病の順に多かった.小児群を除くその他の年代群ではサルコイドーシスが最多であった.炎症部位は前眼部に多かった.続発緑内障の合併率は28.6%であり,そのうちステロイド緑内障は,28.6%であった.
結 論:当施設ではサルコイドーシス,原田病に加え,強膜炎,ヘルペス性角膜ぶどう膜炎が多かった.(日眼会誌119:347-353,2015)

キーワード
内眼炎, 内因性ぶどう膜炎, 強膜炎, 統計, 続発緑内障
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