論文抄録

第119巻第6号

臨床研究

黄斑疾患に対する25ゲージ硝子体手術後網膜剥離の頻度
中静 裕之, 島田 宏之, 服部 隆幸, 山本 篤志, 田中 公二, 北川 順久, 湯澤 美都子
日本大学医学部視覚科学系眼科学分野

目 的:黄斑疾患に対し周辺部硝子体切除を併用した25ゲージ(gauge:G)硝子体手術を行い,術後網膜剥離の頻度を明らかにする.
対象・方法:2005年6月から2014年1月までの間に同一術者が手術を行い6か月以上観察できた黄斑上膜523眼,黄斑円孔402眼.25 G硝子体手術を行い,周辺部硝子体を強膜圧迫し十分に切除した.後部硝子体剥離頻度,網膜裂孔・円孔への眼内光凝固術施行の頻度,術後網膜剥離発症率についてレトロスペクティブに検討した.
結 果:後部硝子体剥離は黄斑上膜の61.8%,黄斑円孔の10.7%ですでに生じており,有意に黄斑上膜症例で多かった.眼内光凝固術施行頻度は黄斑上膜で18.0%,黄斑円孔で41.5%と有意に黄斑円孔で多かった.術後網膜剥離は925眼中4眼,0.43%と低頻度であった.
結 論:25 G硝子体手術において強膜圧迫を用いた周辺部硝子体切除を十分に行い,術後網膜剥離は低頻度であった.(日眼会誌119:402-409,2015)

キーワード
25ゲージ硝子体手術, 黄斑上膜, 黄斑円孔, 網膜剥離
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