目 的:消毒剤の微生物不活化効力に影響する因子として温度・濃度・時間がある.この3因子がヨウ素系消毒剤であるヨウ素・ポリビニルアルコール点眼・洗眼液(PA・ヨード)の不活化効力に与える影響と,さらに保存法が本製剤の不活化効力の安定性に与える影響について検討する.
方 法:各種微生物に対して,3因子の条件を変化させて不活化反応を行い,反応後の生存微生物数を測定した.保存については密栓の有無,温度の差を検討した.
結 果:温度では,低温の4°Cで不活化効力が低下し,濃度では,20倍希釈以上の濃度でほとんどの微生物が死滅した.時間は,長いほど有効で特にウイルスで影響が大きかった.保存法は,密栓,低温ほど安定していた.
結 論:PA・ヨードの不活化効力には温度・濃度・時間とも正相関を示し,中でも濃度の影響が最も大きかった.保存には密栓,低温が必要である.(日眼会誌119:503-510,2015)