目 的:全層角膜再移植例の予後とそれに影響を及ぼす因子を検討する.
対象と方法:106例108眼を対象とし,移植片生存率,移植片生存期間,術後1年矯正視力,不可逆性拒絶反応出現率を後ろ向きに調査し,予後への影響を及ぼす因子として,年齢,移植回数,初回手術の原疾患,緑内障の合併,拒絶反応の既往,術後免疫抑制剤使用の各因子につき検討した.
結 果:各因子の検討では,拒絶反応の既往がある症例,術後に免疫抑制剤を投与した症例は,再移植後も有意に拒絶反応を起こしやすかった.因子間の多変量解析では,全身免疫抑制剤(副腎皮質ステロイド,シクロスポリン)の投与を行った症例は移植片生存率が悪く,緑内障の合併例は術後1年矯正視力が悪かった.また,術前に拒絶反応のあった症例では,術後不可逆性拒絶反応が起こりやすかった.
結 論:術前拒絶反応の既往や緑内障のある症例は予後不良で,術後免疫抑制剤の投与は予後を改善しない可能性がある.(日眼会誌119:625-631,2015)