論文抄録

第120巻第1号

臨床研究

網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫に対するラニビズマブ硝子体内注射の6か月間治療成績
坂西 良仁, 大内 亜由美, 伊藤 玲, 海老原 伸行
順天堂大学医学部附属浦安病院眼科

目 的:網膜静脈閉塞症(RVO)に伴う黄斑浮腫(ME)に対するラニビズマブ硝子体内注射(IVR)の6か月間の治療成績について検討する.
対象と方法:IVRを施行されたMEを伴う網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)32眼(平均66.1歳,男性17眼,女性15眼)と網膜中心静脈閉塞症(CRVO)14眼(平均69.7歳,男性7眼,女性7眼)を対象とした.6か月間の注入回数,視力と中心窩網膜厚の経過,単回投与で効果が持続した症例の注入前因子についてレトロスペクティブに検討した.投与は導入期の注入を1回とし,その後は必要に応じて再注入とした.
結 果:注入前と注入6か月後のlogarithmic minimum angle of resolution(logMAR)視力は,BRVOでは0.51から0.33,CRVOでは0.75から0.56となった.平均注入回数はBRVO 1.9回,CRVO 2.5回であった.注入前と比較し6か月後はBRVO,CRVOともに視力,中心窩網膜厚に統計学的有意差をもって改善を認めた.また,BRVOにおいて注入前の中心窩網膜厚が薄いほど単回投与でも効果が持続する割合が高いことが示された.
結 論:RVOに伴うMEに対するIVRは,6か月後の視力や中心窩網膜厚を改善させる.(日眼会誌120:28-34,2016)

キーワード
網膜静脈閉塞症, ラニビズマブ, 黄斑浮腫, 網膜静脈分枝閉塞症(BRVO), 網膜中心静脈閉塞症(CRVO)
別刷請求先
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