目 的:眼部定位的放射線治療後血管新生緑内障(NVG)の危険因子および汎網膜光凝固術(PRP)の予防効果を検討する.
対象と方法:脈絡膜悪性黒色腫,涙腺癌などの眼部悪性腫瘍に対しガンマナイフ治療,サイバーナイフ治療などの定位的放射線治療を行った24例を対象とし,診療録を後ろ向きに調査した.予防的PRPを行っていない9例をA群,PRPを行った15例をB群とした.A・B両群のNVG発生率をKaplan-Meier法を用い,log-rank testで比較した.
結 果:A群では3例でNVGを発生,B群ではNVG発生はなかった.A群において乳頭部線量がNVGの有意な危険因子であった(p=0.045).B群ではA群に比べ有意にNVG発生率が低かった(p=0.019).
結 論:眼部定位的放射線治療では乳頭部線量がNVGの危険因子となる.PRPはNVGを予防する効果がある.(日眼会誌120:689-695,2016)