背 景:Acute annular outer retinopathy(AAOR)は,眼底に灰白色輪状病巣を呈するまれな疾患である.両眼性AAORをスペクトラルドメイン光干渉断層計(OCT),眼底自発蛍光(FAF),補償光学(AO)眼底カメラ撮影で観察した.
症 例:56歳男性.1か月半前に熱発し,解熱後に右眼の霧視を自覚した.
所 見:両眼後極部に境界明瞭な輪状病巣がみられ,その辺縁はFAFで過蛍光を呈した.OCTでは病巣内でellipsoid zoneと外境界膜の消失,網膜色素上皮細胞層の隆起を認めた.検眼鏡的に異常がない左眼中心窩においてOCTで網膜内層に高信号点状病巣,interdigitation zoneの信号強度低下とAO画像で錐体細胞形態の不明瞭化がみられた.
結 論:AAORをmultimodal imagingで観察し,輪状病巣のみでなく検眼鏡や血管造影で健常にみえる部分に視細胞,網膜色素上皮障害が検出できた.(日眼会誌120:837-845,2016)