論文抄録

第120巻第2号

臨床研究

単一施設での日常診療における滲出型加齢黄斑変性に対する血管内皮増殖因子阻害薬治療:2年以上経過例の治療効果
尾花 明, 郷渡 有子, 瀬戸 孝彦
総合病院聖隷浜松病院眼科

目 的:加齢黄斑変性(AMD)に対する血管内皮増殖因子阻害薬必要時治療の長期成績の検討.
対象と方法:初回治療から2年以上経過を追えた248人257眼(男性189人,女性59人,平均値±標準偏差:71.1±9.2歳)の治療回数と期間,視力,形態変化を後ろ向きに検討した.再治療は患者の意思を重視して決定した.
結 果:平均経過観察期間3.7年間の治療回数は平均6.4±3.8回/眼で,240眼が一度は滲出性変化が消失し,最終的に160眼が滲出消失した.Gass分類の2型新生血管は1型より高頻度で線維化した.平均視力は治療前0.36,最終0.26であった.54眼は治療期間が100日以内だったが,ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)は治療期間が長かった.重篤な局所および全身副作用はなかった.
結 論:平均視力低下は治療回数が少ないためと考えた.全体の21%は短期間の治療後再発なく経過したが,PCVは典型AMDより治療が長期化した.(日眼会誌120:91-100,2016)

キーワード
ラニビズマブ, pro re nata(PRN)治療, 治療期間, 形態変化, ポリープ状脈絡膜血管症
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