論文抄録

第120巻第4号

臨床研究

先進医療として実施された羊膜移植の適応と有効性
森川 恵輔1)2), 外園 千恵1), 稲富 勉1), 中村 隆宏1), 横井 則彦1), 松尾 俊康1), 木下 茂1)
1)京都府立医科大学眼科学教室
2)愛生会山科病院

目的:先進医療として実施された羊膜移植の適応と予後を調査する.
方法:①2010年度~2012年度に先進医療として羊膜移植を実施した国内21施設にアンケートを郵送し,疾患名,有効性,転帰を調査した.②京都府立医科大学眼科で2009年4月から2013年6月までに実施した症例を同様に検討した.
結果:①計311眼の回答を得た.疾患は翼状片148眼,角膜潰瘍・上皮欠損60眼,角膜穿孔28眼,難治性緑内障24眼,その他51眼であった.有効性は完全奏功と部分奏功を合わせると287眼(92.3%)であり,転帰は有効281眼(90.4%)であった.②当科で実施した45眼の疾患は初発翼状片15眼,再発翼状片27眼,その他(瞼球癒着)3眼であった.有効性は完全奏功98%,部分奏功2%であり,転帰は有効100%であった.
結論:羊膜移植は主として翼状片で実施され,角膜潰瘍,角膜穿孔,難治性緑内障にも高い有効性を示した.(日眼会誌120:291-295,2016)

キーワード
羊膜移植, 先進医療, 翼状片, 上皮欠損, 難治性緑内障
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