論文抄録

第120巻第4号

臨床研究

東京都小笠原村における裸眼視力の変化
伊藤 美沙絵1), 清水 公也2), 川守田 拓志1), 庄司 信行1)2)
1)北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科視覚機能療法学専攻
2)北里大学医学部眼科学教室

目的:東京都特別区小笠原村(以下,小笠原村)で義務教育を修了した者の裸眼視力の変化を調査する.
対象と方法:東京都と小笠原村で1981年から2012年の間に定期健康診断を受診した6歳~14歳の小・中学生を対象とした.小笠原村在住者においては,小笠原村でテレビ地上波放送が開始された1996年前後の2群で裸眼視力不良者の割合について比較検討した.
結果:東京都に比べて小笠原村における裸眼視力不良者の割合は低かった.小笠原村在住者の裸眼視力1.0未満の者の割合について1996年前降で比較すると,1996年以降の高学年(小学4年以降)で裸眼視力1.0未満の者の割合の増加が認められた(p<0.01,Fisher's exact test).中学1年次に裸眼視力0.7未満の者の割合は,1996年以前の群で0%,1996年以降の群では26.6%であった.
結論:小笠原村では,東京都に比べて裸眼視力不良者の割合は低かったが,1996年以降,裸眼視力不良者の増加傾向が認められた.(日眼会誌120:296-302,2016)

キーワード
裸眼視力, 小笠原, 学童
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〒252-0373 相模原市南区北里1-15-1 北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科視覚機能療法学専攻 伊藤 美沙絵
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