臨床研究
A0001（ブリリアントブルーG250）の内境界膜染色と剝離に対する有効性と安全性の検討―多施設共同第III相医師主導治験
江内田 寛1）, 平形 明人2）, 大路 正人3）, 西田 幸二4）, 久保田 敏昭5）, 緒方 奈保子6）, 園田 康平7）10）, 内山 麻希子8）, 岸本 淳司9）, 戸高 浩司8）, 中西 洋一8）, 石橋 達朗10）
1）佐賀大学医学部眼科学教室
2）杏林大学医学部眼科学教室
3）滋賀医科大学眼科学講座
4）大阪大学大学院医学系研究科眼科学教室
5）大分大学医学部眼科学教室
6）奈良県立医科大学眼科学教室
7）山口大学大学院医学系研究科眼科学
8）九州大学病院ARO次世代医療センター
9）九州大学大学院医学研究院次世代医療研究開発講座
10）九州大学大学院医学研究院眼科学分野
目 的：硝子体手術における内境界膜の可視化のために投与したA0001（ブリリアントブルーG250）の有効性と安全性を検討する．
対象と方法：硝子体手術の適応で内境界膜剝離が必要となる被験者31症例を対象にA0001を0.0625～0.125 mg投与し，5段階（レベル0～4）で投与後の可視化の程度·手術容易性を評価した．被験者の安全性については術後7日間まで調査した．
結 果：主要評価項目の中央判定による可視化の程度の評価と副次評価項目の術者による可視化の程度および手術容易性の評価は，いずれの被験者でも内境界膜の視認性が明瞭なレベル3以上であり，全例で有効（5段階レベルで2以上）と判定された．2例以上に発現した眼局所の有害事象は眼圧上昇，眼痛，眼脂および網膜出血であった．重篤な有害事象は黄斑円孔の非閉鎖が1例あり，再手術により閉鎖を確認した．
結 論：A0001投与は硝子体手術時の内境界膜の可視化に有効かつ安全であり，手術の容易性向上が確認された．（日眼会誌120：439-448，2016）
キーワード
ブリリアントブルーG（BBG）, 医師主導治験, 内境界膜染色, 内境界膜剝離, 硝子体手術
別刷請求先
〒849-8501 佐賀市鍋島5-1-1 佐賀大学医学部眼科学教室 江内田 寛
enaida@cc.saga-u.ac.jp
受付:2015年12月9日 改訂受理:2016年1月26日
利益相反：江内田 寛（カテゴリーP），石橋達朗（カテゴリーP）
日本眼科学会雑誌
120: 439-448,2016
