論文抄録

第120巻第8号

臨床研究

緑内障診療データの管理と共通化の現状とデータ共通化に向けての取り組み
柏木 賢治1), 相原 一2), 稲谷 大3), 岩瀬 愛子4), 川瀬 和秀5), 杉山 和久6), 中澤 徹7), 中村 誠8), 福地 健郎9), 吉冨 健志10), 新家 眞11)
1)山梨大学医学部眼科学教室
2)東京大学医学部眼科学教室
3)福井大学医学部眼科学教室
4)たじみ岩瀬眼科
5)岐阜大学医学部眼科学教室
6)金沢大学医学部眼科学教室
7)東北大学医学部眼科学教室
8)神戸大学医学部眼科学教室
9)新潟大学医学部眼科学教室
10)秋田大学医学部眼科学教室
11)公立学校共済組合関東中央病院

目 的:本邦における緑内障診療データの管理・共通化の現状について調査し,今後の緑内障診療・研究の向上のための課題と方向性について明らかにすること.
対象と方法:日本緑内障学会内に設置されたデータ共通化委員会に参画し,緑内障診療に積極的に取り組んでいる14大学に対して文書によってアンケート調査を行った.
結 果:すべての大学において病院情報システムが導入され,3社の眼科部門カルテによる診療データの電子化が行われていた.しかしながら,電子カルテから電子的な診療データ提供体制が整っていた大学は30.8%にとどまり,データの二次利用が具体的に進んでいる大学眼科は14.3%のみであった.地域医療機関との電子データによる診療連携を進めている大学眼科は35.7%であり,眼科内で診療データの電子的管理を行っていたのは42.9%にとどまっていた.
結 論:アンケートの結果から診療データの管理や共通化について多くの課題が明らかになった.(日眼会誌120:540-547,2016)

キーワード
緑内障, 診療データ共通化, 診療連携, データ二次利用
別刷請求先
〒409-3898 中央市下河東1110 山梨大学医学部眼科 柏木 賢治
kenjik@yamanashi.ac.jp