論文抄録

第120巻第8号

臨床研究

眼底写真で測定した生理的外方回旋角に加齢が与える影響
大平 明彦
若葉眼科病院

目 的:眼底写真で他覚的に測定できる生理的外方回旋角(中心窩と視神経乳頭中心を結ぶ直線が水平線となす角.以下,回旋角)の正常値を調べ,回旋角への加齢の影響を検討する.
対 象:大田区緑内障検診で2013年から2015年までの3年間に受診した45歳と65歳の者で,両眼とも眼疾患がなく眼底写真が鮮明に撮れた者.
結 果:45歳39名,65歳67名の計212眼の眼底写真を分析した.回旋角(平均値±標準偏差)は,45歳・65歳で各々,右眼6.2±2.9・6.8±2.8度,左眼7.1±3.6・7.8±3.2度であった.45歳と65歳の間で,各眼の回旋角に差はなかった(右眼p=0.27,左眼p=0.24,t検定).両年齢群を併せると,左眼では右眼よりも回旋角が大きかった(p=0.025,対応のあるt検定).
結 論:眼底写真で計測した生理的外方回旋角は,45歳と65歳の間では差がなかった.右眼より左眼のほうが回旋角は大きい.(日眼会誌120:548-551,2016)

キーワード
加齢, 生理的外方回旋角, 眼底写真, 視神経乳頭―中心窩角
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