論文抄録

第120巻第9号

臨床研究

Schlemm管内皮網除去と深層強膜弁切除を併施した線維柱帯切開術の術後成績
安田 絵里子, 金森 章泰, 上田 香織, 明石 梓, 坂本 麻里, 井上 結香子, 山田 裕子, 中村 誠
神戸大学大学院医学研究科外科系講座眼科学分野

目 的:Schlemm管内皮網除去(SER)と深層強膜弁切除(DS)を併施した線維柱帯切開術(TLO)の術後成績を検討すること.
対象と方法:白内障手術を併施せず術後1年以上観察が可能であったTLO+DS症例131眼(SER施行53眼,非施行78眼)を対象とした.2群間の3年後の眼圧≦20 mmHg(クライテリアA)および≦16 mmHg(クライテリアB)を生存とした生存率をKaplan-Meier生存曲線解析で比較した.
結 果:術後早期の一過性眼圧上昇発生率はSER施行群3.8%,非施行群21.8%と前者で有意に低かった.術後3年時の眼圧および術後投薬スコアに両群で有意差はなかった.クライテリアAの生存率はSER施行群で有意に高かった(p=0.008)が,クライテリアBでは両群に差はなかった(p=0.06).
結 論:SERを併施した場合,一過性眼圧上昇を抑制させ,20 mmHg以下に眼圧をコントロールできる割合が高かった.(日眼会誌120:635-639,2016)

キーワード
Schlemm管内皮網除去, 深層強膜弁切除, 線維柱帯切開術, 一過性眼圧上昇
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〒650-0017 神戸市中央区楠町7-5-2 神戸大学大学院医学研究科外科系講座眼科学分野 安田 絵里子
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