論文抄録

第121巻第10号

臨床研究

強度近視に伴う網膜毛様静脈の所見の特徴について
相馬 亮子1)2), 石田 友香1), 二神 創1)2), 大野 京子1)
1)東京医科歯科大学眼科学教室
2)玉川病院眼科

目 的:視神経乳頭縁で網膜静脈から脈絡膜循環へ交通する短絡路である網膜毛様静脈(retinociliary vein)の強度近視眼での報告は今までにない.今回,強度近視眼に伴う網膜毛様静脈の連続症例3例4眼をインドシアニングリーン蛍光眼底造影検査(ICGA)で詳細に観察した.
対象と方法:強度近視眼患者504例956眼のうち,網膜毛様静脈合併症例のカラー写真,ICGA所見などを検討した.
結 果:4眼3名(0.4%)で合計5本の網膜毛様静脈を認めた.5本中3本で網膜静脈から脈絡膜静脈への循環がICGAで確認された.後極部渦静脈が3眼で観察され,網膜毛様静脈2本がそれに交通していた.全例で視神経乳頭外(コーヌス内)にて脈絡膜側へ交通していた.
結 論:病的近視では視神経乳頭周囲において網膜と脈絡膜との間に多様な側副路が形成されていることが示された.(日眼会誌121:755-760,2017)

キーワード
強度近視, 網膜毛様静脈, インドシアニングリーン蛍光眼底造影検査(ICGA)
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