論文抄録

第121巻第12号

臨床研究

コーワAP-7000™とHumphrey視野計における緑内障診断力の検討
宇田川 さち子1), 大久保 真司1), 東出 朋巳1), 岩瀬 愛子2), 松本 長太3), 杉山 和久1)
1)金沢大学医薬保健学域医学系眼科学
2)たじみ岩瀬眼科
3)近畿大学医学部眼科学教室

目 的:コーワAP-7000™(以下,AP-7000)とHumphrey視野計(以下,HFA)の緑内障性視野異常の診断力と各パラメータを比較検討する.
対象と方法:健常群67例67眼,緑内障性構造異常群56例56眼をHFA 24-2とAP-7000(クイック1,閾値中心2)で測定した.緑内障性視野異常検出の感度・特異度とκ係数による判定一致率,Spearmanの順位相関係数を用いた各パラメータの相関,Bland-Altman解析の結果を検討した.
結 果:緑内障の検出感度はHFAが80.4%,AP-7000が85.7%,特異度はHFAが79.1%,AP-7000が77.6%であった.判定一致率は,全症例で0.64(p<0.001),健常群で0.25(p=0.039),mean deviation(MD)が-3 dB以上の緑内障性構造異常群で0.54(p=0.007),MDが-3 dB未満の緑内障性構造異常群で1.00(p<0.001)であった.HFAとAP-7000のパラメータの相関は,MDがrs=0.86,visual field index(VFI)がrs=0.80(いずれもp<0.001)で強い相関があった.Bland-Altman解析ではMDとVFIに加算誤差と比例誤差があった.
結 論:AP-7000とHFAのパラメータは強く相関したが,緑内障性視野異常の判定一致率は,健常群と軽度な緑内障性視野異常例では低かった.視野障害が高度になるに従いAP-7000ではHFAに比べ視野障害が過小評価される傾向があった.(日眼会誌121:915-922,2017)

キーワード
コーワAP-7000, Humphrey視野計, 緑内障性視野異常, 診断力
別刷請求先
〒920-8641 金沢市宝町13-1 金沢大学医薬保健学域医学系眼科学 宇田川 さち子
s-uda@med.kanazawa-u.ac.jp