論文抄録

第121巻第2号

症例報告

病的近視のコーヌス内ピットに伴う網膜血管走行異常を示した1例
大野 京子
東京医科歯科大学医歯学総合研究科眼科学分野

背 景:病的近視では乳頭周囲の機械的伸展に伴いコーヌス内にピットが生じる.今回,コーヌスピット部位に陥入する顕著な網膜静脈の走行異常を認めたので報告する.
症 例:病的近視のため,東京医科歯科大学強度近視外来通院中の61歳女性である.屈折度は右-21.4,左-22.8ジオプトリー,眼軸長は右32.0 mm,左31.7 mmであった.両眼の視神経乳頭は上下方向に伸展し変形していた.左眼では乳頭耳側にコーヌス内ピットを認め,コーヌス内に陥入した網膜静脈の異常走行が観察された.光干渉断層計(OCT)ではピット部位で強膜はほぼ全層離開しており,ピット後方の組織陰影が観察できた.
結 論:病的近視のコーヌス内ピット形成に伴い,網膜静脈の陥入と走行異常が生じることがある.(日眼会誌121:146-149,2017)

キーワード
病的近視, 視神経, コーヌスピット, 網膜血管, 光干渉断層計
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