論文抄録

第121巻第6号

症例報告

シクロスポリン併用が有効であった副腎皮質ステロイド抵抗性のVogt-小柳-原田病の2症例
福富 啓, 眞下 永, 吉岡 茉衣子, 春田 真実, 南 高正, 下條 裕史, 大黒 伸行
地域医療機能推進機構大阪病院眼科

目 的:副腎皮質ステロイド抵抗性のVogt-小柳-原田病(VKH)に対しシクロスポリンの併用が奏効した2症例を報告する.
症例1:52歳男性.VKHに対しステロイドパルス治療を施行し,その後プレドニゾロン内服治療(40 mg/日)に移行したところ網膜下液の増加を認めたため,再度ステロイドパルス治療を施行した.その後プレドニゾロン内服治療(60 mg/日)を行ったが,前回と同様の経過を辿ったためシクロスポリン200 mg(3 mg/kg)内服治療を追加した.その後,炎症は軽減し良好な経過を辿っている.
症例2:50歳男性.VKHに対し近医にてステロイドパルス治療を2クール施行されたが,いずれも内服に移行すると再燃するとして当科を紹介受診となった.副腎皮質ステロイド抵抗症例と考え,シクロスポリン150 mg(3 mg/kg)を追加した.その後,炎症は徐々に軽快していき良好な経過を辿っている.
結 論:副腎皮質ステロイド治療に抵抗性を示すVKHに対しては,シクロスポリンの併用治療が有効であると考えられた.(日眼会誌121:480-486,2017)

キーワード
Vogt-小柳-原田病, シクロスポリン, ステロイドパルス治療
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