論文抄録

第121巻第7号

臨床研究

調節麻痺薬の使用に関する施設基準および副作用に関する調査:多施設共同研究
若山 曉美1), 仁科 幸子2), 三木 淳司3), 内海 隆4), 菅澤 淳5), 林 孝雄6), 佐藤 美保7), 木村 亜紀子8), 不二門 尚9)
1)近畿大学医学部眼科学教室
2)国立成育医療研究センター眼科
3)川崎医科大学眼科学教室
4)内海眼科医院
5)大阪医科大学眼科学教室
6)帝京大学医学部眼科学講座
7)浜松医科大学眼科学教室
8)兵庫医科大学眼科学教室
9)大阪大学大学院医学系研究科感覚機能形成学

目 的:15歳以下の小児に対する調節麻痺薬使用に関する施設基準および副作用について検討する.
対象と方法:日本弱視斜視学会理事および本学会に専門申請のあった眼科医が所属する178施設を対象にアンケート調査を実施した.
結 果:回収率は65.2%で,使用率はアトロピン硫酸塩では86.2%,シクロペントラート塩酸塩は96.6%であった.点眼方法は,アトロピン硫酸塩は1日2回7日間,濃度は0.50%または1.00%,1.00%のみ使用が合わせて72.0%を占めた.シクロペントラート塩酸塩は「5分間隔で2回点眼し60分後に検査を実施する」が多かった.副作用の経験は,アトロピン硫酸塩は84.5%(98/116施設)で主な症状は顔面紅潮,発熱,シクロペントラート塩酸塩は55.2%(64/116施設)で眠気,幻覚であった.
結 論:使用率は両薬剤ともに高く,副作用の経験はアトロピン硫酸塩が多いが,シクロペントラート塩酸塩でも半数以上が経験していた.(日眼会誌121:529-534,2017)

キーワード
小児, 調節麻痺薬, 副作用, アトロピン硫酸塩, シクロペントラート塩酸塩
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〒589-8511 大阪狭山市大野東377-2 近畿大学医学部眼科学教室 若山 曉美
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