背 景:抗血管内皮増殖因子(VEGF)治療による網膜無灌流域(NPA)縮小の可能性が指摘されているが,症例報告数はいまだに少ない.NPAが縮小した虚血型網膜静脈閉塞の3症例を報告する.
症例1:網膜静脈分枝閉塞に1か月ごとに3回のラニビズマブ(IVR)導入し,NPAの縮小を確認後,残存NPAに網膜光凝固(PC)を施行,その後のNPAは不変であった.
症例2:網膜中心静脈閉塞(CVO)に対しアフリベルセプトを1か月ごとに3回導入し,NPAの縮小を確認後,残存NPAにPCを施行したが4か月後の再検時にはNPAは拡大していた.
症例3:Hemi CVOに対しIVRを1か月ごとに3回施行し,NPA縮小を確認後,残存NPAにPCを施行した.6か月後にNPAは拡大し,16か月目には網膜新生血管を認めたためPCを追加した.
結 論:抗VEGF治療によってNPAの縮小がみられたが,残存NPAにPCを行ってもNPAの再拡大を来す症例もあり,PCの適応や実施の時期については検討の余地がある.(日眼会誌121:546-552,2017)