目 的:水晶体再建術後に真菌性眼内炎を来し,治療に苦慮したStevens-Johnson症候群(SJS)の症例を経験したので報告する.
症 例:59歳,SJSの女性であり,加齢白内障が進行したため水晶体再建術を施行した.術前の結膜囊擦過培養検査でカンジダ属を検出したため周術期に0.1%ミコナゾール硝酸塩(MCZ)点眼を使用した.経過良好にて消炎を得たため,術後34日にMCZ点眼を終了したところ,前房内炎症が再燃し,散瞳検査により前囊縁に白色塊を認めた.術後91日に前囊切除術を施行し,前囊よりカンジダ属を検出したため術後真菌性眼内炎と診断した.MCZ点眼およびボリコナゾール内服による治療を開始し,改善を得たが副作用と考えられる視力低下を認め内服を中止した.それに伴い眼内炎が増悪し,白内障手術後7か月において硝子体手術および眼内レンズ摘出術を施行した.術後に0.1% MCZ点眼およびイトラコナゾール内服を行い,治癒した.
結 論:難治性眼表面疾患に対する内眼手術時には,日和見感染や耐性菌による眼内炎の予防に注意を要する.(日眼会誌122:928-933,2018)