目 的:東京都における超低出生体重(ELBW)児の未熟児網膜症(ROP)の診断,治療状況を調査し,ROPを重症度別に群分けし,それぞれ合併症,神経学的発達について検討する.
対象と方法:2011年に東京都の周産期医療センター14施設で出生したELBW児275例のROP診断,ROPの発症,治療について眼科医に調査を行った.また周産期ネットワークデータベースをもとに生存率,合併症,3歳時の発達検査値(DQ値)について検討した.
結 果:対象の平均在胎週数(平均値±標準偏差)は26.0±2.4週,平均出生体重は722.7±163.7 gであった.生存率は88.7%(244/275),ROP発症率は82.7%,治療率は29.0%であった.1群:治療群でaggressive posterior retinopathy of prematurity(AP-ROP)およびzoneI網膜症20例(8.4%),2群:治療群でzoneII網膜症49例(20.6%),3群:ROP発症なし,および自然治癒169例(71.0%).多変量解析では,治療群(1群,2群)は治療なし群(3群)に比べ,人工換気使用日数60日以上,慢性肺疾患,脳室内出血の割合が有意に高かった.また,3歳DQ値70未満は1群71.4%,2群27.6%,3群17.5%であった.1群は2群に比べその割合が高かった(p=0.009)
結 論:ELBW児の生存率は向上し,ROP発症率,治療率は低下したが,重症ROPの発症率は高く,治療を要した症例の29.0%はAP-ROPおよびzoneI網膜症であった.これらの児は神経発達遅滞の割合が有意に高かった.(日眼会誌122:103-113,2018)