論文抄録

第122巻第4号

臨床研究

特発性周辺部角膜潰瘍の発症および臨床経過に関する検討
後藤 周1)2), 外園 千恵1), 稲富 勉1), 小泉 範子1), 横井 則彦1), 木下 茂1)
1)京都府立医科大学眼科学教室
2)京都第一赤十字病院眼科

目 的:特発性周辺部角膜潰瘍患者の発症背景,臨床経過を調査し,治療と予後の関係を明らかにする.
方 法:2009年1月から2010年12月までに本疾患で受診した患者を対象とした.男性20例,女性13例,計33例53眼で,初診時片眼性17例,両眼性16例,年齢は36~85歳(平均値±標準偏差:56.5±11.7歳)で,角膜穿孔を12眼に認めた.
結 果:当院で加療した29例45眼のうち非穿孔34眼中28眼はベタメタゾン点眼,シクロスポリン内服などの保存的治療で軽快した.観血的治療は15眼(穿孔9眼,非穿孔6眼)に実施され,表層角膜移植術のみが2眼,表層角膜移植術と輪部移植/角膜上皮形成術の併用が7眼,輪部移植/角膜上皮形成術のみが6眼であった.最終視力1.0以上は非穿孔34眼中24眼に対し,穿孔11眼中2眼であった.
結 論:本疾患は主として中高年に発症し,23%で穿孔を伴った.治療抵抗例では輪部移植/角膜上皮形成術などの観血的治療が有用である.(日眼会誌122:287-292,2018)

キーワード
特発性周辺部角膜潰瘍, ベタメタゾン, シクロスポリン, 角膜穿孔, 角膜上皮形成術
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