論文抄録

第122巻第4号

症例報告

白内障術後に角膜穿孔を来した3症例
大野 瑞1), 舟木 俊成1), 山口 昌大1), 岩本 怜1), 春日 俊光2), 村上 晶1)
1)順天堂大学医学部眼科学教室
2)順天堂大学医学部附属順天堂東京江東高齢者医療センター眼科

目 的:順天堂医院で白内障術後に角膜穿孔を生じた3例の臨床経過を報告する.
症 例:症例1は82歳男性,ドライアイの既往があり,抗核抗体は陽性であった.症例2は64歳女性,関節リウマチの既往があった.症例3は60歳女性,Sjögren症候群の既往があり,抗核抗体が陽性であった.すべての症例で白内障術後に角膜穿孔を生じた.全例で眼表面疾患と自己免疫疾患の既往が重複する症例であった.表層角膜移植術を施行し,全症例ともに2年経過後も再移植の必要なく経過良好である.
結 論:眼表面疾患や自己免疫疾患の既往が重複するハイリスク症例は,術後の点眼調整などの個別対応が必要であると考えられる.(日眼会誌122:300-305,2018)

キーワード
角膜穿孔, 非ステロイド性抗炎症薬, ドライアイ, 白内障手術, 自己免疫疾患
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〒113-8421 東京都文京区本郷2-1-1 順天堂大学医学部眼科学教室 大野 瑞
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