論文抄録

第122巻第4号

症例報告

Swept-source optical coherence tomographyを用いた渦静脈瘤の観察
内田 南, 石田 友香, 大野 京子
東京医科歯科大学眼科学教室

背 景:渦静脈膨大部は,時に著明に拡張し渦静脈瘤と呼ばれる.検眼鏡的に他の脈絡膜腫瘍と類似する場合があり,鑑別が重要である.近年,swept-source optical coherence tomography(SS-OCT)を用いて脈絡膜腫瘍を観察した報告が増えており,腫瘍の鑑別や大きさなどフォローアップに有用であるといわれている.しかし,渦静脈瘤をSS-OCTを用いて観察した報告は今までにない.我々はSS-OCTを用いて2例の渦静脈瘤を観察することができたので報告する.
症 例:59歳女性,65歳女性,両症例とも脈絡膜に暗褐色隆起性病変を認め,各種検査結果から渦静脈瘤と診断した.SS-OCTでは脈絡膜血管と同じく低輝度で内部均一,辺縁整な腫瘤が脈絡膜内に確認された.さらに腫瘤の内部に中等度輝度の隔壁が描出され,類円形の管腔構造が隣接している所見であった.
結 論:SS-OCTを用いて渦静脈瘤は拡張した脈絡膜血管の集合であることが確認できた.また既報のその他の脈絡膜腫瘍のSS-OCT所見とは異なる所見であった.(日眼会誌122:319-322,2018)

キーワード
渦静脈瘤, 波長掃引型光干渉断層計(SS-OCT), 脈絡膜腫瘍
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