論文抄録

第122巻第6号

臨床研究

健常者におけるブリモニジンとリパスジルの単回併用点眼による眼圧下降効果,瞳孔径,結膜充血の検討
李 真熙1), 小溝 崇史1), 小野 喬1), 八木 彰子1), 宮田 和典1), 本庄 恵2), 相原 一2)
1)宮田眼科病院
2)東京大学医学部眼科学教室

目 的:ブリモニジンとリパスジルの単回併用点眼による眼圧下降効果および瞳孔径変化,結膜充血への影響を検討すること.
対象と方法:眼疾患のない健康成人20名,年齢40.8±11.6(平均値±標準偏差)歳を対象とした.点眼液投与なし,0.1%ブリモニジン点眼液,0.4%リパスジル点眼液,両者併用の4パターンの単回点眼試験を同一対象の右眼に対し1週間以上間隔をあけて行った.眼圧,瞳孔径,充血スコアは点眼前(午前9時),点眼2,4,8時間後にGoldmann眼圧計,オートレフケラトメータ,写真撮影評価でそれぞれ測定評価した.各点眼パターンの眼圧下降効果,瞳孔径と充血スコア変化を混合効果モデルで解析した.
結 果:眼圧は点眼後2,4時間で併用群がそれぞれの単剤群より有意に下降した(p<0.01)が,8時間では差はなかった.瞳孔径は併用群とブリモニジン単剤群では点眼後2,4,8時間で有意な縮瞳効果を認め(p<0.001),両群で瞳孔径変化量に差はなかった.充血スコアは点眼後2時間でリパスジル単剤群のみ併用群より有意に高かった(p=0.003).
結 論:ブリモニジンとリパスジルの併用は,各単剤よりも点眼後2,4時間では有意に大きい眼圧下降効果を認めたが,8時間では差はなかった.ブリモニジンの縮瞳効果にリパスジルは影響しなかった.リパスジルによる結膜充血をブリモニジンが抑制する可能性がある.(日眼会誌122:453-459,2018)

キーワード
リパスジル, ブリモニジン, 多剤併用療法, 眼圧, 緑内障
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