論文抄録

第122巻第7号

臨床研究

手術既往のある共同性水平斜視に対する再手術成績
福田 美穂, 木村 亜紀子, 増田 明子, 岡本 真奈, 三村 治, 五味 文
兵庫医科大学眼科学教室

目 的:手術既往のある共同性水平斜視に対する再手術症例の特徴と治療成績を報告する.
対象と方法:2008年からの7年間に,手術既往のある共同性水平斜視で,当科で再手術を施行し,1か月以上経過を追えた139例(年齢は平均値±標準偏差:37.1±23.7歳)を対象とした.初回手術前および当科での再手術前の眼位をもとに,初回術前が外斜視(XT)で再手術前の眼位が内斜視(ET)あるいはXT,初回術前がETで再手術前の眼位がETあるいはXTの4群に分類し,患者背景,手術成績につき検討した.
結 果:当科での再手術までの期間は平均値±標準偏差:18.9±17.4年で,ET術後XT群で有意に長く(29.5年),また複数回の手術既往のあるものが18.7%みられた.術後眼位は再手術により有意に改善し(p<0.0001),82.7%が整容治癒,術前複視のあった89.3%で複視消失が得られ,初回手術前の眼位がXT群では,有意に立体視の改善を認めた.
結 論:手術既往のある共同性水平斜視症例に対する再手術は,整容面での改善,複視消失に有効であった.初回手術前の眼位がXT群では立体視の改善も見込まれる.(日眼会誌122:503-508,2018)

キーワード
手術既往, 外斜視, 内斜視, 再手術, 治療成績
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