目 的:眼内原発リンパ腫の多くは発症後,数年以内に中枢神経系リンパ腫(CNSL)を併発し,5年生存率は最近の報告でも約60%と生命予後不良な疾患である.CNSLが発生した場合,定期的な外来通院が困難となる症例も多く,長期経過に言及した報告は少ない.今回,5年以上の経過観察が可能であった眼内原発リンパ腫の臨床像を検討したので報告する.
対象と方法:対象は1999年4月から2011年8月までに東京医科大学病院眼科で眼内原発リンパ腫の診断に至り,5年以上の経過観察が可能であった14例で,診療録をもとに後ろ向きに臨床像を検討した.
結 果:症例は14例(男性3例,女性11例),平均年齢は63.8±6.3歳(平均値±標準偏差),平均観察期間は90.3±27.9か月であった.初診時の罹患眼は両眼,片眼それぞれ7例であり,経過中にCNSLが12例(86%)に発生した.経過観察期間中の平均再発回数は3.7回(0~18回)で,その内訳は眼内2.1回(0~16回),CNSL 1.2回(0~3回),その他の臓器0.4回(0~2回)であった.
結 論:眼内原発リンパ腫は長期生存例においても眼局所,中枢神経系を問わず再発例が多いため,継続的かつ厳重な管理が必要である.(日眼会誌122:565-571,2018)