論文抄録

第122巻第9号

臨床研究

Swept-source光干渉断層計angiographyを用いた乳頭周囲血管密度の定量化と再現性の検討
吉川 祐司, 庄司 拓平, 菅野 順二, 尾崎 公威, 石井 宏和, 伊吹 寿士, 木村 至, 篠田 啓
埼玉医科大学病院眼科

目 的:Swept-source光干渉断層計angiography(SS-OCTA)を用いて乳頭周囲網膜血管密度を定量化し,その再現性を検討すること.
対象と方法:2017年10月から12月までの間に埼玉医科大学病院にて臨床研究に参加同意を得られた健常ボランティア18人36眼を対象とした.Carl Zeiss Meditec社製SS-OCTA(PLEX™ Elite 9000)を用いて視神経乳頭部に対し3 mm×3 mmのOCTA撮影を同日に2回行った.得られた画像から全層網膜(WRL),表層網膜(SRL),深層網膜(DRL),プロジェクションアーチファクトを除去した深層網膜(PAR-DRL)の各層の画像を抽出,Phansalkar法を用いて2値化し,乳頭周囲網膜血管密度の定量化を行った.級内相関係数(ICC)と変動係数(CV)を用いて血管密度定量の撮影間再現性を検討した.
結 果:緑内障が疑われた2眼,ならびに画像ノイズにより解析不能であった1眼を除外し,18人33眼に対して解析を行った.各層における網膜血管密度(%)の2回の平均値〔中央値(四分位範囲)〕はSRLが74.9(73.5~76.5),DRLが74.7(72.6~75.3),PAR-DRLが27.4(26.1~29.0),WRLが81.5(79.8~82.7)であった.また撮影間のICC,CV(%)はそれぞれSRLが0.75(0.56~0.87)〔平均値(95%信頼区間)〕,0.78(0.54~1.03),DRLが0.76(0.57~0.87),0.81(0.58~1.05),PAR-DRLが0.67(0.43~0.82),2.65(2.00~3.29),WRLが0.70(0.47~0.84),0.79(0.56~1.01)であった.
結 論:本研究で使用したSS-OCTAは,乳頭周囲網膜血管密度の定量化が可能であり,良好な再現性が示された.(日眼会誌122:685-692,2018)

キーワード
光干渉断層計angiography, 血管密度, 再現性, 緑内障, 2値化, Phansalkar法
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