背 景:Stevens-Johnson症候群(SJS)は急性期に眼病変を生じ,慢性期に重篤な視力障害をもたらすことがある.発症年齢が低いほど急性期の眼所見は重篤化しやすく,発症早期の適切な診断が重要である.当初,小児科で川崎病と考えられていたが皮膚科および眼科受診でSJSと診断された1例を経験したので報告する.
症 例:8歳男児.発熱,咽頭痛,両眼結膜充血を生じたためA医院を受診し,感冒が疑われ,抗ヒスタミン薬,去痰薬,気管支拡張薬,抗プラスミン薬,第三世代セフェム系抗菌薬を処方された.翌日から咽頭痛が悪化,さらに全身に発疹が出現した.このためB総合病院を受診したところ川崎病の疑いで入院となった.入院後の眼科検査で偽膜形成を認め,SJS疑いで当院に転院となった.全身性に融合傾向がある非典型的ターゲット状紅斑,血痂と出血を伴う口腔口唇粘膜の発赤腫脹とびらん,両眼の偽膜形成,結膜上皮欠損からSJSと診断された.ステロイドパルスおよびベタメタゾン点眼などで治療を行ったところ,奏効し,視力障害を残さず治癒した.
結 論:SJSの早期診断,治療には皮膚科および眼科の診察が大切である.(日眼会誌122:705-710,2018)