目 的:硝子体手術後の無硝子体眼における糖尿病黄斑浮腫に対する抗血管内皮増殖因子(VEGF)薬硝子体内投与の有効性を検討する.
対象と方法:対象は,2015年3月から2017年5月までの間に西葛西・井上眼科病院で糖尿病黄斑浮腫と診断され,抗VEGF薬硝子体内投与を施行した99例117眼〔男性60眼,女性57眼,年齢66.2±11.3(平均値±標準偏差)歳〕.視力,光干渉断層計を用いた中心窩網膜厚を,投与前から投与6か月後までにおいて,チャートレビューにより後ろ向きに調査した.
結 果:初回投与時の有硝子体眼は101眼(86.3%),無硝子体眼は16眼(13.7%)であった.観察期間中の投与回数は,単回投与が59眼(50.4%),2回以上投与が58眼(49.6%)で,平均1.71回であった.平均logarithmic minimum angle of resolution(logMAR)値は,有硝子体眼と無硝子体眼でそれぞれ投与前0.38±0.30,0.46±0.26,投与6か月後0.35±0.38,0.38±0.30で,両群の改善量に有意差はなかった.平均中心窩網膜厚は,有硝子体眼と無硝子体眼でそれぞれ投与前449.9±153.5 μm,509.6±157.6 μm,投与6か月後341.7±124.6 μm,369.1±123.2 μmと,それぞれ有意に改善し(p<0.01,p<0.01),両群の改善量に有意差はなかった.
結 論:無硝子体眼における抗VEGF薬硝子体内投与は,糖尿病黄斑浮腫に対して有効である可能性がある.(日眼会誌123:115-120,2019)