目 的:若年白内障での回折型多焦点眼内レンズ(IOL)の有効性を検討する.
対象と方法:+4.0 D加入回折型多焦点IOLを挿入した40歳未満の白内障症例37例49眼に対し,既往,角膜乱視,眼軸長,水晶体混濁部位,術後遠見および近見視力のlogarithmic minimum angle of resolution(logMAR)値,コントラスト感度,眼鏡装用状況,グレア,ハローを検討した.
結 果:40.5%にアトピー性皮膚炎の既往を認め,89.8%が直乱視,平均眼軸長は25.26±1.52 mm,65.3%に前囊下混濁を認めた.術後平均裸眼視力のlogMAR値は遠方-0.05±0.12,近方0.09±0.13で,コントラスト感度は高周波数領域で正常範囲を下回ったが86.5%は眼鏡を装用せず,重篤なグレア,ハローは認めなかった.
結 論:回折型多焦点IOLを挿入した若年白内障例では眼鏡依存を軽減する良好な裸眼視機能が得られた.(日眼会誌123:150-155,2019)