論文抄録

第123巻第4号

基礎研究

特集 学会原著:第122回日眼総会
模型眼を用いた眼内レンズ強膜内固定術用ガイドの有用性の検討
池田 尚子, 山根 真, 村上 博美, 北嶋 瑶子, 稲崎 紘, 佐藤 新兵, 井上 麻衣子, 門之園 一明
横浜市立大学附属市民総合医療センター視覚再生外科学教室

目 的:ダブルニードルテクニックを用いたフランジ法による眼内レンズ(intraocular lens:IOL)強膜内固定術で,強膜トンネルの角度を一定にするための専用ガイド(ダブルニードルガイド)を作製し,IOLの傾斜,偏心の予防効果を検討した.
対象と方法:験者7名(専門医3名,研修医4名)がそれぞれ専用ガイドを用いて5眼,ガイドを用いずに5眼,計70眼の模型眼にフランジ法でIOL固定を行い,前眼部三次元光干渉断層計(CASIAII,トーメーコーポレーション社)を用いてIOLの傾斜と偏心を測定した.結果を専門医施行群と研修医施行群に分けて検討を行った.
結 果:模型眼70眼でのIOLの平均傾斜は,ガイドあり群で有意に小さかった(p<0.05).専門医施行群の平均傾斜はガイドの有無で有意差は認めなかったが(p=0.06),研修医施行群ではガイド使用により有意に軽減した(p<0.05).IOLの平均偏心はいずれの群でもガイドの使用により減少傾向がみられたが,有意な差はみられなかった.
結 論:ダブルニードルガイドは術後のIOL固定状態を改善し,特に手術初心者においてその効果が高い可能性がある.(日眼会誌123:383-388,2019)

キーワード
フランジ法, ダブルニードルテクニック, 専用ガイド
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