目 的:+1.50 diopter(D)低加入度数分節型眼内レンズ(全長11.0 mmワンピース・プレート形状)の術後前房深度の経時的変化について検討すること.
対象と方法:対象は2017年10月~11月に水晶体再建術を行い,本眼内レンズ(IOL)を挿入した10例20眼とし,術後4日,1か月,3か月,6か月,1年時に自覚的屈折値,角膜屈折力,前房深度(狭義:角膜後面からIOL前面までの距離)を測定した.角膜屈折力と前房深度は前眼部光干渉断層計を用いて測定した.
結 果:術後前房深度(狭義)は,4日で3.78±0.66 mm(平均値±標準偏差,以下同),1か月で3.97±0.55 mm,3か月で4.10±0.54 mm,6か月で4.11±0.53 mm,1年で4.07±0.68 mmであり,術後4日を起点として,いずれも有意に前房深度は深くなった(p<0.0001).術後前房深度変化量は術後4日を起点として,1か月で0.20±0.12 mm,3か月で0.32±0.22 mm,1年で0.29±0.19 mmのIOL後方移動を認めた.術後4日から1年までに平均自覚的屈折値は0.24 D遠視化し,平均角膜屈折力は0.19 D近視化したが,いずれの時期も有意差を認めなかった.
結 論:ワンピース・プレート形状の低加入度数分節型眼内レンズは,術直後から3か月まで緩やかに後方移動し,その後安定する.(日眼会誌124:395-401,2020)