目 的:眼瞼脂腺癌の臨床像を明らかにし,眼瞼脂腺癌に対する再建術後の合併症を検討すること.
方法と対象:京都府立医科大学眼科において2004年9月から2018年6月までに腫瘍切除および再建術を施行した眼瞼脂腺癌55例(平均術後観察期間3.6年)を対象とし,臨床像および再建術後合併症をレトロスペクティブに検討した.
結 果:全55例の内訳は男性25例,女性30例で男女比は5:6,平均年齢±標準偏差は74±14歳,nodular typeが52例,diffuse typeが3例であった.再建術式はTenzel flap 12例(22%),Switch flap 5例(9%),遊離瞼板移植8例(15%),Hughes flap 14例(25%),硬口蓋粘膜移植15例(27%),眼窩内容除去1例(2%)であった.18例(33%)で再手術を要する合併症を認め,内訳は内反症8例,兎眼6例,眼瞼下垂5例,外眼角偏位1例であった.術式別では硬口蓋粘膜移植に最多(10例)の合併症を認めた.再発は9%,転移は13%であった.
結 論:日本人における眼瞼脂腺癌は男女差が少なく,diffuse typeの占める割合が低い.再建術式はflapによる後葉再建(Hughes flap)もしくは眼瞼全層弁(Tenzel flap,Switch flap)のほうが遊離瞼板移植や硬口蓋粘膜移植といった遊離後葉移植より術後合併症が少ないことが示された.(日眼会誌124:410-416,2020)