目 的:視野正常群を対象として,両眼開放Estermanテストを実施した報告はなく,判断の基準が足りない.今回我々は,視野正常群に対して両眼開放Estermanテストを実施する機会があり,その結果を報告する.
対象と方法:対象は,眼科疾患がなく,矯正視力が0.7以上であり,Humphrey視野計24-2 SITA Standardで視野異常を認めない97例である.対象者に対して両眼開放Estermanテストを施行し,Esterman disability score(EDS)を算出した.
結 果:対象者のEDSは最小値94,最大値100,平均値(±標準偏差)99.41±1.31,中央値100,1パーセンタイル値94.0,5パーセンタイル値96.8であった.また,EDSは年齢と負の相関を示した(r=-0.428,p<0.001,Spearman相関係数).
結 論:本研究では,多数の日本人の視野正常群を対象として本検査を実施し,その統計と関連要因に関する示唆を得た.本研究で得られたEDSの1パーセンタイル値94.0,5パーセンタイル値96.8は,両眼開放Estermanテストの判定基準の一つの指標になり得ると考える.(日眼会誌124:549-554,2020)