目 的:視覚障害認定の全国調査結果を都道府県別に検討する.
対象と方法:2015年度の視覚障害の新規認定の全国調査のデータを用いて,人口10万人あたりの認定者数(認定者割合)と原因疾患を都道府県別に検討した.また,総人口に占める65歳以上の割合(高齢化率),人口10万人あたりの身体障害者福祉法第15条指定医師である眼科医数(指定医師割合),人口10万人あたりの眼科専門医数(専門医割合),県民1人あたりの所得(県民所得),社会福祉費,老人福祉費と認定者割合との関連,および高齢化率と主要な原因疾患による認定者割合との関連について,線形回帰分析を行った.
結 果:都道府県別の認定者割合の平均(±標準偏差)は13.3±2.6人であった.高齢化率と指定医師割合は認定者割合に有意に関連した(順に,p=0.001,回帰係数0.26,95%信頼区間0.11~0.41.p=0.023,回帰係数0.31,95%信頼区間0.05~0.57).専門医割合,県民所得,社会福祉費,老人福祉費は認定者割合に関連しなかった.92.1%の都道府県において原因疾患の1位は緑内障であり,高齢化率は緑内障による認定者割合に有意に関連した(p=0.005,回帰係数0.16,95%信頼区間0.05~0.27).
結 論:都道府県別の認定者割合には高齢化率と指定医師割合が関連した.緑内障による認定者割合には高齢化率が関連した.(日眼会誌124:697-704,2020)