目 的:PRESERFLOⓇマイクロシャントは現在欧州にて臨床使用可能な低侵襲緑内障濾過手術デバイスで,強角膜切除,虹彩切開を必要とせず濾過手術が施行可能である.日本人患者における先行研究の術後1年の成績を報告する.
対象および方法:対象は点眼治療下にある原発開放隅角緑内障で濾過手術適応と診断された患者8例9眼,術者2名による単施設前向き試験を行った.1眼は白内障同時手術を行った.眼圧変化および合併症,術後処置について術前,術翌日,1週,1,3,6,9,12か月において検討した.
結 果:術前眼圧,点眼スコア(平均値±標準偏差)は全9眼で18.1±3.4 mmHg,3.6±0.5,脱落例を除外した8眼で17.9±3.5 mmHg,3.5±0.5であり,脱落1眼の除外を問わず,眼圧値および点眼スコアともに術前と比べ全観察時で有意に減少していた.1年後の眼圧,点眼スコアは13.8±3.0 mmHg,1.6±1.4(n=8)であった.合併症は術後早期の一過性前房出血1例以外なく,術後の有意な角膜内皮細胞密度減少,視力低下を認めなかった.1眼で術後5か月時にチューブ抜去,線維柱帯切除術を行った.術後ニードリングは1回2眼,2回2眼で必要であった.
結 論:日本人原発開放隅角緑内障眼にマイクロシャント濾過手術を行い,1年の観察を行った結果,有効性と安全性の高い緑内障濾過手術術式となる可能性が高いと考えられた.(日眼会誌124:705-712,2020)