目　的：強度近視眼の乳頭周囲脈絡網膜萎縮（PPA）に出血を認めた症例を呈示し，PPA出血（PPAH）の特徴について検討した．
症　例：強度近視眼でPPA内あるいはPPA近傍に出血を認めた14例14眼〔年齢66.1±10.0歳（平均値±標準偏差），眼軸長30.86±2.74 mm〕で，緑内障合併の判定は困難であった．出血の性状は円状が9出血，楕円状が4出血，棒状が3出血であった（2例は2か所に出血あり）．PPAとの位置関係は，PPA内が11出血，PPA境界部が5出血であった．出血の位置は4時方向で1出血，7時方向で1出血，8時方向で2出血，9時方向で8出血，10時方向で4出血を認め，1出血以外はすべて耳側でしかも9時方向が半数以上であった．
結　論：強度近視眼におけるPPAHは，PPA内に来した出血や乳頭縁から離れたPPA境界部に出現した出血であり，緑内障性乳頭出血（DH）とは異なる機序で生じた可能性がある．（日眼会誌125：954-960，2021）