目 的:落屑緑内障に対するチューブシャント手術の長期における術後成績を解析し,安全性について検討する.
対象と方法:2012年~2017年の期間に熊本大学病院で施行した連続症例22例24眼を後ろ向きに調べた.経過観察期間は33.0±19.1か月(平均値±標準偏差),術前眼圧は28.9±7.2 mmHgであった.17眼に白内障手術の既往,全例に濾過手術の既往があった.白内障同時手術を施行したのはは2眼であった.
結 果:術後眼圧は術後1年,2年,3年,4年でそれぞれ14.6±4.0,13.1±2.9,13.3±4.2,12.3±2.8 mmHgであり,術前と比較して有意に下降していた.緑内障薬点眼の有無にかかわらず眼圧5~20 mmHgの維持を成功とした生命表解析での1年の生存率は91.7%であった.早期合併症を17眼(70.8%)で認め,主な所見は脈絡膜剝離,前房・硝子体出血,低眼圧,前房消失などであった.晩期合併症を7眼(29.1%)で認め,主な所見は低眼圧,角膜内皮不全などであった.
結 論:落屑緑内障に対するBaerveldtⓇチューブシャント手術は有効な眼圧下降効果を認めたが,合併症に対しては注意が必要と考えられた.(日眼会誌125:111-116,2021)