目 的:日本における結核性ぶどう膜炎の臨床像と治療内容を明らかにすること.
対象と方法:多施設後ろ向き研究にて2001年1月~2012年12月の間に結核性ぶどう膜炎と診断された130例192眼の年齢,性別,臨床所見,結核菌感染の検査法,治療について検討した.
結 果:130例中,男性78例(60%),女性52例(40%)で,年齢は48.5±16.7:20~88歳(平均値±標準偏差:範囲)であった.192眼中,11眼(5.7%)が前部ぶどう膜炎,92眼(47.9%)が後部ぶどう膜炎,88眼(45.8%)が汎ぶどう膜炎であった.眼所見では網膜血管炎142眼(74.0%),硝子体混濁89眼(46.4%),前房炎症88眼(45.8%),網膜滲出斑73眼(38.0%)であった.結核菌感染検査ではツベルクリン反応123例(94.6%),インターフェロン-γ遊離試験(IGRA)83例(63.8%)の順に実施率が高く,陽性率はそれぞれ95.2%,75.9%であった.108例(83.1%)で抗結核薬が投与され,うち41例(38.0%)で副腎皮質ステロイド内服が併用された.全身結核病変を合併していた症例は14例(10.8%)であった.
結 論:結核性ぶどう膜炎で多い臨床像は網膜血管炎,硝子体混濁であった.全身結核病変を合併していた症例は1割と少なく,臨床像が多彩な結核性ぶどう膜炎の診断にはツベルクリン反応やIGRAが重要であると考えられた.(日眼会誌125:415-424,2021)