目 的:涙囊結石の臨床的特徴と術前検査,治療成績を明らかにすること.
対象と方法:2008年~2015年までに愛媛大学附属病院眼科で鼻涙管閉塞に涙道内視鏡併用涙管チューブ挿入術または涙囊鼻腔吻合術(DCR)を施行した245例307側を診療録から調査し,患者背景,自覚症状のアンケート調査に関し,涙囊結石を伴う結石あり群と伴わない結石なし群で比較し,涙管通水検査,涙道内視鏡検査,コーンビームcomputed tomography(CBCT)による涙道造影検査,治療について結石あり群で検討した.
結 果:結石あり群は23例23側,平均年齢は65.6歳,平均罹病期間は25.3か月,急性涙囊炎の既往は4側であった.自覚症状のアンケート調査の結果,術前アンケートを聴取した結石あり群9側と結石なし群63側の両群で全項目に有意差はなかった.涙管通水検査所見は通過障害あり20側,通過障害なし2側,所見不明1側であった.CBCTによる涙道造影検査を施行した4側で涙囊結石が充盈欠損として描出された.治療は涙道内視鏡を用いた涙囊結石除去術が21側で施行され,平均治療回数は1.29回であり,全例で涙管チューブを挿入した.DCRが施行されたのは2側であった.
結 論:涙囊結石は鼻涙管閉塞の7.5%に合併し,急性涙囊炎のリスクが高い.診断・治療には涙道内視鏡が有用で,CBCTによる涙道造影検査も診断に有用な可能性がある.(日眼会誌125:523-529,2021)