論文抄録

第125巻第7号

臨床研究

ポリープ状脈絡膜血管症に対するアフリベルセプト併用レスキュー光線力学療法後の1年経過
春藤 卓也, 横山 彩子, 西山 一聖, 三浦 聡子, 沢 美喜
堺市立総合医療センターアイセンター(眼科)

目 的:アフリベルセプト硝子体内投与(IVA)併用レスキュー光線力学療法(PDT)を施行したポリープ状脈絡膜血管症例の1年経過について後ろ向きに検討する.
対象と方法:対象は2015年8月~2019年2月の間にIVA併用レスキューPDTを施行した17例18眼(平均年齢73歳,男性9例女性8例)であった.黄斑ドライの達成率,追加治療,矯正視力,中心窩下脈絡膜厚(CCT),有害事象について検討した.
結 果:レスキューPDT前の抗血管内皮増殖因子(VEGF)薬投与回数は平均7.1回(3~14回),病変最大径は2,713±950 μm(平均値±標準偏差)であり,14眼(78%)で網膜色素上皮剝離がみられた.3か月後には12眼(67%)で黄斑ドライを達成した.その後,8眼(44%)でIVA単独治療もしくはIVA併用PDTの追加治療を行い,12か月後でも12眼(67%)が黄斑ドライを達成した.平均logarithmic mini mum angle of resolution(logMAR)視力はレスキューPDT前0.23,1か月0.21,3か月0.15,12か月後0.16で期間中の有意な改善はみられなかった(p≧0.05,repeated ANOVA).平均CCTはレスキューPDT前256 μm,1か月231 μm,3か月220 μm,12か月後235 μmでレスキューPDT前と比較し3か月後のみ有意に減少していた(p<0.05,repeated ANOVA).4眼(22%)で萎縮が進行し,それら4眼の平均CCTはレスキューPDT前196 μmに対し,3か月後では131 μmと33%の減少がみられた.
結 論:IVA併用レスキューPDT後3か月には67%で黄斑ドライを達成できたものの,その後も約半数で追加治療を要した.レスキューPDT後に脈絡膜の菲薄化が進行した例では,黄斑部の萎縮に留意すべきである.(日眼会誌125:661-667,2021)

キーワード
ポリープ状脈絡膜血管症, 加齢黄斑変性, 光線力学療法, アフリベルセプト, 萎縮
別刷請求先
〒593-8304 堺市西区家原寺町1-1-1 堺市立総合医療センターアイセンター(眼科) 沢 美喜
sawamikimd@gmail.com