論文抄録

第126巻第1号

臨床研究

オミデネパグ・イソプロピル点眼液0.002%の眼圧下降効果および安全性の後方視的検討
髙木 堅太郎, 笠原 正行, 平澤 一法, 河野 雄亮, 米山 諒, 辻沢 辰彦, 庄司 信行
北里大学医学部眼科

目 的:オミデネパグ・イソプロピル点眼薬0.002%(以下,OMDI)の眼圧下降効果および安全性について,点眼開始6か月後までの短期成績を後方視的に検討した.
対象および方法:対象はOMDIを使用中の緑内障患者83例83眼であり,前投与薬がなくOMDI単剤を新規に開始した45例45眼(新規群)と,プロスタグランジン(PG)関連薬からOMDIに切り替えた38例38眼(切り替え群)の2群に分類した.OMDI点眼開始6か月後までの眼圧の推移および副作用の発現頻度について検討した.
結 果:新規群の平均眼圧(mmHg)は点眼開始前18.0±4.5(平均値±標準偏差),1か月後15.2±3.7,3か月後15.1±4.9,6か月後14.9±2.9と,点眼開始後すべての観察点で点眼開始前と比較して有意に下降した.切り替え群の平均眼圧(mmHg)は切り替え前15.6±3.8,1か月後15.8±4.3,3か月後15.2±3.0,6か月後15.1±3.5と,切り替え後すべての観察点で切り替え前と比較して統計学的な有意差を検出できなかった.副作用は新規群において8例(17.8%)で出現し,点眼開始3か月後に囊胞様黄斑浮腫を1例(2.2%)で認めたが,点眼中止後に改善した.PG関連薬の特徴である睫毛増生や上眼瞼溝深化,眼瞼周囲の色素沈着を認める症例はなかった.
結 論:OMDIはPG関連薬と遜色ない眼圧下降効果を示す可能性が示唆されたが,有水晶体眼であっても囊胞様黄斑浮腫の発現には注意が必要である.(日眼会誌126:19-26,2022)

キーワード
オミデネパグ・イソプロピル, プロスタグランジン, 緑内障
別刷請求先
〒228-8555 相模原市南区北里1-15-1 北里大学医学部眼科 髙木 堅太郎